2020年の世界と日本は、厳しい状況に直面しています。長く拡大を続けてきた景気動向に翳りが見え始めた中で、世界的な規模でコロナ危機が発生しました。経済社会の混乱には、まだ収束の気配が見えません。

 

 しかし、こうした時期にこそやるべきことがあります。今までなかなか進まなかった遠隔診療や遠隔教育、そしてキャッシュレス化・・・・これらは、パンデミックの今こそ進める政策であり、コロナ問題が収束した後の経済社会を大きく前進させるものです。パンデミック後の世界は、別の世界になっている・・・歴史の教訓です。中国などいくつかの国は、そうした戦略をしたたかに進めているように見えます。現状への対応をしつつ、同時にコロナ後を見据えて行動しなければなりません。

 

 当面のコロナ問題収束に全力をあげ、また経済悪化を防ぐ対策に注力しつつ、同時にコロナ後の社会を展望する・・・そうした姿勢で、引き続き政策問題を考えたいと思います。

 

 日本は様々な問題を抱えていますが、同時に大きなチャンスをも有しています。経済社会を良くするため、皆さんと大いに議論し、行動したいと思っています。

 

2020年4月           

 竹中平蔵         

 東洋大学教授          

 慶應義塾大学名誉教授